同じ会社で40年以上のキャリアを築くということは、今や極めて珍しいことになりつつあります。
そんな中、ある人物のキャリアパスが私の目を引きました。1985年にレジ係としてキャリアをスタートしたAnn-Marie Campbell氏です。彼女は販売員、店長、地区マネージャー、地域担当副社長といった現場の役職を着実にステップアップし、最終的にThe Home Depotの上級執行副社長にまで登り詰めました。
日本の視点から見ると、このエピソードにはどこか懐かしさや親近感を覚えるものがあります。というのも、一社で長く勤め上げるスタイルは、歴史的に日本の雇用文化の象徴だったからです。従業員は長年にわたり様々な部署や職務を経験する中で、組織に関する深い知識やノウハウを地道に蓄積してきました。
時代の変化とともに、かつての日本型雇用モデルは姿を変えつつあります。しかし、一つの組織に深く根を下ろすことで、専門性を磨き、ビジネスの本質を理解し、豊かな経験を通じて成長できるという根底にある価値観は、今なお色褪せることはありません。
キャリアの多様化が進む現代において、企業や組織がいかにしてこうした持続的な成長とステップアップの機会をデザインしていくかが、今まさに問われています。
